『沖縄タイムス』2008年1月26日付

環境科学も研究対象/大学院大


【東京】沖縄科学技術大学院大学の設立準備を進める独立法人沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)の第五回運営委員会が二十五日、都内のホテルで開かれた。OISTのシドニー・ブレンナー理事長が、脳神経生理学など生物科学分野を研究する従来の方針に加え、新たに環境科学分野を研究対象分野に位置付けることを提案し、委員も同意した。海洋生物のDNA配列や、エネルギー分野で研究を進める方向で検討する。

会合後の記者会見で、有馬朗人共同議長(元東京大総長)は「(海に囲まれ自然環境が豊かな)沖縄の地の利を生かして、海洋自然科学の研究が進んでいくといいと思う」との展望を示した。

OISTは代表研究員(PI)に、海洋生物の遺伝子研究の第一人者として知られる京都大の佐藤矩行教授を内定しており、今後の協議で具体的な研究内容を詰める。

ブレンナー理事長は環境科学研究の利点として、「生物学、物理学など幅広い分野の研究者を結集できる」と説明した。

会見でトーステン・ヴィーゼル共同議長は、メーンキャンパスの建設工事が順調に進んでいることや、政府の二〇〇八年度予算で前年度以上の額が計上されたことを挙げ、「目的達成のために驚くべき進ちょくが見られる」と評価した。

会合冒頭にあいさつした岸田文雄沖縄担当相は、六月に沖縄でG8科学技術担当閣僚会合が開かれることを紹介。「沖縄が世界の科学技術の発展に貢献する場として一層の注目が集まり、大学院大学構想の国際的な発信にもつながると考える」と述べ、G8会合との相乗効果に期待した。