『静岡新聞』2008年1月24日付

新大学院で県内連携 静岡大、県立大…


静岡大と県立大は24日、県内の国公私立大が共同で新しい大学院を設置する「静岡連合大学院(仮称)」構想を発表した。運営母体が異なる同一地域の大学同士が組み、大学院を共同設置する試みは全国でも例がないという。アジア経済圏で活躍できる人材や、公共経営分野で高度な専門知識を持つ職業人の養成に取り組む。県内私大とも協議を進める。

静岡大の興直孝学長と県立大の西垣克学長が県庁で会見した。従来の大学院が重視してきた研究者養成だけでなく、地域社会のニーズに応える実務家の育成に力を入れる。早ければ2009年4月の開設を目指す。

興静大学長は「アジアの活力とエネルギーを静岡県に取り込むため、両大のポテンシャルを生かした教育プログラムを共同開発する」、西垣県立大学長は「少子高齢社会を迎え、静岡県内に特色ある教育環境があることを積極的に展開する必要がある。これまでの大学連携より一歩前に進めたい」と述べた。

新しい大学院は「国際経営」と「新公共経営」の2分野を展開する。国際経営分野は日本とアジアの経済事情に精通した人材を育成し、中国などアジア留学生にも門戸を広げる。留学生は修了後、県内企業などで一定期間就業する方向付けを行い、企業の海外展開や県域の国際化に役立てる。

新公共経営分野は行政経営の実務家の育成を主眼に、静岡の地域課題を追究する教育プログラムを用意する。県内自治体の中堅職員の専門教育にも役立ててもらいたい考えだ。

新大学院の設置場所は各大学の既存キャンパスとは離し、アクセスしやすい静岡市の静岡駅周辺を検討している。※

静産大の参加有力

静岡大と県立大が進める共同大学院に参加する私大として、静岡産業大(大坪檀学長)が浮上している。実学に根差した静産大の教学方針は今回の大学院構想に近く、関係者によると既に両大と静産大間で協議の申し合わせがなされたという。

大坪学長は国公私立の枠を超えた大学院の設置について「静岡県の高等教育の発展につながる素晴らしいアイデア。お誘いは大歓迎」と述べた。「県内には産業・公共経営分野で、学部卒生や社会人を対象とした高度な学びを提供する場があまりなかった。一大学だけでやるのは大変なこと。共同大学院は教育資源を効率よく生かすことができる」と指摘し、「大学院の理念と各大学の役割をどう構築していくかが課題と考えている」と述べた。