『朝日新聞』2008年1月20日付

軍事転用できる大学技術、漏出防止へ手引 経産省


経済産業省は、大量破壊兵器などの開発に結びつく技術の海外流出を防ぐため、大学や研究機関向けの技術管理ガイダンス(手引)を作成した。産学連携で共同研究する企業から、大学側の技術管理に対する意識の低さが指摘されていた。

外国為替法では、核兵器や大量破壊兵器に転用される恐れのあるモノの輸出や技術データの提供には、経産相の許可が必要だ。違反すると刑事罰や行政制裁が科されるが、「学問の自由の意識が強い大学では、輸出管理が徹底されていない」(経産省)という。

手引では、外為法で規制される「技術データ」には実験機器の技術仕様書や実験データなども該当することを指摘。技術提供する場合の手順や判断の目安を明記した規定を作るよう求めた。

国際会議や施設見学、外国研究者などとの打ち合わせ、共同研究、教育などでも技術情報が漏出しやすいと警告。外国の研究者への電子メールや電話についても、規制対象の情報を提供していないかどうか確認するよう求めている。

大量破壊兵器の開発が疑われる国からの研修生や留学生の受け入れについては、「申請があった段階で国籍や個人の経歴などを調査し、受け入れの可否を判断することが重要」と指摘している。