『読売新聞』新潟版2008年1月21日付

下条・次期学長に聞く 「新大ブランド確立を」


新潟大の次期学長に下条文武(げじょうふみたけ)・医歯学総合研究科教授(64)が就任する。任期は2月1日から4年間。どこの大学も少子化で受験生確保が難しくなる中、どうやって“新大ブランド”を確立していくのか。抱負を聞いた。

今回の学長選出にあたって、下条教授は教職員の意向投票で過半数の票を得て、学長選考会議でも全員一致で選ばれた。

「円満に選出されたことがうれしい」と笑顔を見せる。

2002年から5年間、大学付属病院の院長を務め、国立大学法人化に直面した病院の改革に手腕を振るった。国からの運営交付金が年間約3億円減額され、これを補うため、病院スタッフと一丸となって努力した。

「最初に手をつけたのが病床稼働率のアップ。診療科ごとに別々だったベッドの管理を一元化した。各科の事情で断っていた患者も入院できるようになり、83%台だったのが93%と、全国立大学病院のトップクラスに跳ね上がった」と振り返る。

他県の私立大学が新潟市内で入学試験を行うなど、少子化時代を迎え、受験生の争奪戦は激化している。

「新潟大は学生数でいうと全国の国立大学でも10番目ぐらい。特色ある研究成果も数多い。しかし学外の方々には新潟大の良さが良く知られていない。もっと広報活動を強化しなければならない」と指摘する。

高校生に大学を見学してもらうオープンキャンパスの参加者は、年々増え、大学の教員が高校に出向いて授業を行う活動も好評という。こうした積み重ねで、首都圏などへの学生流出を食い止め全国から受験生が集まるような“新大ブランド”を確立していくという。

2月からは長く慣れ親しんだ医学部のある旭町キャンパスを離れ、大学本部のある五十嵐キャンパスでの生活となる。

「新大といえばこれ、とイメージできるようなシンボルを築きたい。学生街としての雰囲気も今ひとつ。最初から多くのことを言うと周りも戸惑うと思うが、徐々にいろんなことを実行していきたい」と目を輝かせる。

山梨県韮崎市出身。自らも新大OBだ。学生時代は6年間ヨット部に所属した。「母校は母港なり」を好んで使う。「ヨットレースでは、風や波など自然条件が勝敗を左右するが、競技者はそれを言い訳にはしない。人生も同じです」と笑う。病院経営のかじ取りから、大学経営のかじ取りへ、手腕が注目されている。

(聞き手・深山真治)