『山陰中央新報』2008年1月18日付

島根大と鳥取大の医学部付属病院が、都道府県がん拠点病院に


厚生労働省が全国で整備を進める「がん診療連携拠点病院」の指定検討会が十七日、出雲市の島根大医学部付属病院と、米子市の鳥取大医学部付属病院を、島根、鳥取各県のがん診療の中核的機能を担う「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定することを決めた。二月に正式決定する。

両病院は今後、各県内の行政や病院との連携を強化し、全県的ながん診療体制を構築する。具体的には、両大学が広島大学と共同で取り組むがん専門職の養成プログラムの活用などで、研修機能を充実。県内病院の治療実績など、情報収集・分析も進め、がん医療水準の向上に努める。

都道府県がん診療連携拠点病院は、国民が居住地にかかわらず、質の高いがん医療を受けられるようにするのが目的。

県内全域を包括した医療体制を整備する役割が求められ、医師や薬剤師らの専門職研修の実施、二次医療圏に一カ所程度を目安に設置されている地域がん診療連携拠点病院への診療支援などの要件を満たすと、厚労相が指定する。指定後は国の財政支援が受けられる。

指定に向けて両病院は昨年、専門的にがん医療を担うセンターを開設し、診療体制を強化した。

鳥取大医学部付属病院は、がんの早期発見につながる陽電子放射コンピューター断層撮影装置(PET−CT)を整備。

島根大医学部付属病院も、県内の地域がん診療連携拠点病院でつくるネットワーク協議会の事務局を務め、全県的ながん登録情報の集計を進めるなどしてきた。

鳥取大医学部付属病院の豊島良太病院長は「関係機関と連携し、がん診療の向上に全力を尽くしたい」と強調。島根大医学部付属病院の小林祥泰病院長は「診療体制やがん登録情報の充実とともに、専門職を育て、各拠点病院に人材を配置できる体制を整えたい」と話した。