労働者派遣法違反について 1/17/08 山形大学 品川敦紀 北大職員組合の神沼先生から、北大での偽装請負についての顛末がご紹介されていますが,大学側の労働者派遣法に関する無知と、対応部門の連絡不足で、労働者派遣法違反の事例が横行しているようですので、問題点をご紹介します。 労働者派遣法では、旧26業種(下記参照)については、派遣労働の受け入れ期間制限が撤廃されましたが,その他の業種については,最長3年までの有期プロジェクト型業務への派遣、出産・育児・介護休業取得者の代替労働者の派遣、医療関係業務への紹介予定派遣、1か月10日以下の受け入れ、を除いて、原則1年、最長3年の受け入れ期間制限が設けられています。 この原則1年、最長3年の受け入れ制限は,派遣元が異なった場合、派遣労働者が交代した場合、及び派遣受け入れの中断が3ヶ月以下の場合においても通算されます。 さて、大学における派遣の受け入れ状況を見ますと、多くの場合,一般事務(事務補助員)での受け入れであって、期間制限の無い26業種には該当しません。従いまして,原則1年、最長でも3年までしか派遣受け入れができません。 しかも,1年を超えて派遣労働を受け入れようとする場合は,あらかじめ該当する事業場の労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数代表者に対し、(1)派遣を受ける業務と、(2)派遣期間を、書面により通知し、その意見を聴く手続きが必要となっています。さらに、この意見は尊重する努力義務が課されています。 なお、この意見聴取を記した書面については、3年間保存(保存事項:(1)意見を聴いた組合の名称または代表者氏名、(2)通知した事項、(3)意見聴取日、(4)聴取した意見の内容、 (5)意見により内容を変更したときは、その変更後の期間)が義務づけられています。 そして、 1年を超えて同一派遣労働者が同一業務に従事していた場合は、派遣先による直接雇用の努力義務が生じ、最大3年の派遣期間を超えて派遣先が派遣労働者を同一場所の同一業務に継続して使用する場合、派遣先は派遣労働者に対して雇用契約の申し入れをしなければならないことになっています(派遣法第40条の4)。 申込みは、そのポストに新たに正規の労働者を雇い入れようとするときに行います。ただし、この場合の正規の労働者は、常用労働者だけでなく、有期契約社員、パート社員なども含ます。 こうした規制については、ほとんど遵守されていないのが現実だと思います。 それはなぜかというと,派遣労働や、請負などが、人事部門の所掌ではなく,経理/契約部門の所掌になっていて、この契約部門が、派遣労働法について全く無知だからなのです。 そういう意味で,各組合、過半数代表は,大学側から1年を超える派遣労働を受け入れる事の是非について意見聴取を受けたかどうか、意見書を提出したかどうか、を是非ご確認される事をお進めします。 参考(26業種)
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