『読売新聞』2008年1月9日付

私大の資産運用は平均利回り1・6%…資金力、米と大差


国内の私立大学が昨年度に資産運用で得た収益は1470億円で、収入全体の2・7%に過ぎず、米国の大学に比べて資金力に大きな差があることが、日本私立学校振興・共済事業団の調査でわかった。

優秀な学生や研究者の確保に使う自前の資金力の差は、大学の競争力の差につながりかねないという。

調べたのは、4年制大学を設置する516法人の決算。その結果、昨年度に運用した資産は計8兆9500億円で、平均利回りは1・6%だった。

一方、米国の調査によると、ハーバード大の3・8兆円、エール大の2・5兆円、スタンフォード大の1・9兆円など、資産運用のために単独で1兆円以上の基金を持つ大学が6校もあった。金融工学を駆使して、金融派生商品やヘッジファンドなどにも投資して、それぞれ年18〜28%の投資収益を上げていた。

早稲田大は、金融機関で活躍したOBを招き、授業料などの収入の中から700億円を債券などで運用。今年度は、収益から30億円を奨学金に支出するが、大出達夫・資金運用担当課長は「大きな含み損は認められず、どうしても保守的になる。米国とは運用に20〜30年の差がある」と認める。国立大の場合、さらに条件は厳しく、運用は預金や国債などに限られている。このため、文部科学省は投資信託の解禁を検討している。