『科学新聞』2007年12月21日付

日本の科学技術研究費 過去最高18兆円突破 民間企業の伸びが要因


総務省統計局は11日、平成19年度科学技術研究調査結果の速報値を公表した。科学技術調査は、総務省統計局が毎年行っているもので、日本の科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術振興に必要な基礎資料を得るのが目的。

平成18年度の日本の科学技術研究費の総額は、18兆4631億円(対前年度比3.5%増)と過去最高で、7年連続の増加となった。また、対GDP比率も3.62%と過去最高となった。これは全体の8割を占める民間企業の研究開発投資が4.6%伸びているためで、大学等は0.7%のマイナスとなっている。性格別に見てみると、基礎研究費(2兆3756億円)、応用研究費(3兆7877億円)はともに0.9%の伸びだが、開発研究費(10兆9294億円)が5.5%と大きく伸びている。

産業別では、企業の研究所などが23.7%増と大きく研究費を増やし、次いで医薬品工業12%増、輸送用機械工業5.3%増などとなっている。

一方で大学の研究費を見てみると、国立大学が4.2%減の1兆4277億円、公立大学4.5%減の1765億円となっている中、私立大学は2.7%増の1兆7782億円となっている。学問分野別では、自然科学系が1.2%の減となっているが、特に理学は10.4%の減と大きく下がっている。

また、研究関係従業者数は105万2100人で、前年に比べて1.5%増えた。研究者が82万6600人(0.8%増)、研究事務その他の関係者が8万3200人(5.3%増)、研究補助者が7万3900人(3%増)、技能者が6万8400人(4.5%増)となっている。男女別に見ると、女性が10万8500人と全体の12.4%を占め、過去最高となった。

技術貿易動向を見てみると、平成18年度の技術輸出による受取額は17.8%増の2兆3782億円と過去最高になった。また、技術輸入による支払額は7054億円(0.2%増)と過去最高。技術輸出額を技術輸入額で割った技術貿易収支比率も3.37倍と過去最高となった。

技術輸出の相手国としては、米国(40%)を筆頭に、中国(8.9%)、タイ(7.9%)、イギリス(5.3%)、カナダ(4.6%)と続いている。一方、技術輸入の相手国としては、米国が73%と圧倒的に大きく、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデンなど米国以外の各国は数%程度となっている。