『岐阜新聞』2008年1月8日付

岐阜大が基礎医学研究者育成へ奨学金


岐阜大学医学部(岐阜市柳戸)は、不足している基礎医学の研究者を育成するため、国内の医学部医学科卒業者を対象に今年4月から、同大大学院基礎研究系入学者に最大で242万円の奨学金を給付する。基礎医学分野の研究者育成を目的とした奨学金は全国的にも珍しい取り組みで、7日から同奨学金を希望する入学者の募集を始めた。

基礎医学は医学・医療開発を担う重要な分野。それでも岐阜大学大学院では現在、医学系研究科の大学院生244人中、基礎医学に携わる国内大学の医学部出身者はわずか数人にとどまる。

同大ではこれまでにも、学内の医学部生を対象に基礎医学分野での研究希望者を対象とした奨学金制度を創設。大学医学部4年次から大学院までの計7年間の授業料最大800万円を給付する手厚い制度だが、基礎医学の研究者を志す若手医師の確保は思うように進んでいないのが実情だ。

新たな奨学金制度では、対象を国内の大学医学部医学科卒業者に広げ、奨学金の返還も不要とした。同大大学院医学系研究科医学科専攻の中で基礎医学系・社会医学系に進んだ入学生に対し、入学金と4年間の授業料(最大242万円)を奨学金として給付。資金は同大大学院医学系研究科の奨学寄付金を充てる。

同大の近藤直実医学部長は「将来の医学・医療開発を担っていくのは基礎医学の分野。今のうちに手を打ち、新たな人材を育てていく必要がある」と話している。

募集の締め切りは今月18日。試験は2月1日に外国語、面接試験を実施。問い合わせは同大医学系研究科・医学部大学院係、電話058(230)6077。