時事通信配信記事 2007年12月25日付

初等中等教育に重点=文科省予算案


文部科学省の2008年度一般会計当初予算案は07年度比0.1%増の5兆2738億円となった。教育基本法、教育改革関連3法が改正されたことを受け「教育再生の初年度」(渡海紀三朗文科相)とし、公立小中学校への教職員約1200人の定数改善、7000人の非常勤講師の配置など、初等中等教育の充実に向けた施策に重点が置かれた。

公立学校の運営体制の強化に向けては、コミュニティースクール(学校運営協議会制度)の推進に、07年度のおよそ倍額の1億8200万円が盛り込まれた。発達障害を含む障害のある子ども一人ひとりのニーズに応じた特別支援教育の推進も、07年度比2.4倍の8億1000万円となった。

そのほか初等中等教育関係は、▽小学校での英語活動推進(6億2600万円)▽全国学力調査の実施(61億8500万円)▽学校評価システムの構築(6億700万円)▽教員免許更新制度の円滑な実施(3億9000万円)―などとなっている。

08年度予算案では、「新たな状況に対応した大学改革の推進も大きなテーマ」(文科相)。国立大学運営費交付金は1.9%減、私学助成は1.0%減となったものの、「国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実」に9.1%増の178億2900万円が盛り込まれた。

「世界最高水準の卓越した教育研究拠点形成」を目指すため、「グローバルCOEプログラム」や大学教育改革支援プログラムに1.1%増の計429億6100万円を計上。複数の大学病院が連携・協力し専門医や臨床研究者を養成する取り組みを支援する「大学病院連携型高度医療人養成推進事業」は、復活折衝で積み増しが認められ、計71億900万円が確保された。

科学技術分野では、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授が世界で初めて作り出した万能細胞「人工多能性幹(iPS)細胞」の研究に、復活折衝で10億円の予算増が認められた。08年度の予算額は計22億円となり、万能細胞を再生医療に実用化する研究を支援する。