『河北新報』2007年12月26日付

東北大が仏2大と共同ラボ 来月申請、欧州で存在アピール


東北大は、フランスの国立応用科学院(INSA)リヨン校、国立中央理工科学校リヨン校(ECL)と連携し、「ジョイントラボラトリー」(共同研究施設)を創設することを決めた。国際的な大学として目標に掲げる「世界トップ30入り」の実現に向け、欧州での存在感と評価を高めるのが狙い。東北大が海外の大学とジョイントラボを設置するのは初めて。

東北大は2004年にINSAリヨン校と、06年にECLと学術協力協定を締結した。3校は今年2月、東北大創立100周年などを記念してリヨン市で日仏フォーラムを共催、今月には仙台市で国際産学連携フォーラムを開いた。

ジョイントラボは共同研究を進める枠組みの概念で、従来の協力関係をさらに発展させる。生命科学やナノ・マイクロ材料、流体力学などの分野で、欧州と日本の研究をリードしていく拠点づくりを目指す。当面は、INSAに置く東北大のリエゾンオフィス(連絡事務所)など既存の施設を活用する。

具体的には(1)研究者や博士課程を修了したポストドクターらの交流(2)講義・シンポジウムの開催(3)学術情報・刊行物の交換―などを推進する。日仏の研究助成機関や地方自治体とも連携し、競争的資金の獲得も狙う。

井上明久総長が今月11日、両校の代表と創設に関する覚書を交わした。欧州を代表する基礎科学研究行政機関・フランス国立科学研究センターに1月、ジョイントラボの設置を申請する予定。

英国の大学情報誌などが大学関係者の相互評価などを基に作成した今年の世界大学ランキングで、東北大は102位。トップの米ハーバード大など上位10校は欧米が独占し、国内では東大が17位、京大が25位に入った。

大西仁副学長は「欧州で旗を掲げ、広く専門家を取り込みたい。これまでは個人レベルでの研究交流だったが、ラボの設置で総合的な力を発揮できる」と成果に期待している。