08年度政府予算案の文科省大学関連内容の掲載

2007年12月26日 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

12月20日財務省より内示された08年度文科省予算案のうち、大学関連予算部分については既に21日付で公表したが(注1)、24日の閣議で決定された政府予算案の当該部分を入手したので本ウェッブサイトに掲載する。財務省内示とは、「3.(4)大学・大学病院が連携した医師等の養成システムの推進」が15億円増額されたり、「5.(1)(独)日本学生支援機構奨学金事業の充実」における財政融資資金部分が減額されるなどの差異が見られる。その差違の根拠については現在調査中である。

既に本事務局が21日に指摘したように運営費交付金は230億円強、率にして1.9%強の削減となっており、6月に閣議決定された『経済財政改革の基本方針2007』(注2)中の「基盤的経費の確実な措置」を、24日の閣議で文科大臣を含めていとも簡単に葬ったのである。それだけではない。07年度予算案において運営費交付金の削減率が1%を上回る1.4%になったことについて、文科省が学長に「今回かぎり」と説明したと伝えられているが、これについても文科省は全く口をつぐんでいる。

このようになし崩し的な運営費交付金の削減が進む一方、規制改革会議は12月25日の第二次答申(注3)の中で、「運営費交付金の配分に際しては、教育・研究それぞれの評価を適切に反映されるよう配分ルールを検討」することを「平成19年度内を目途に措置」とはっきりと表明している。同日の教育再生会議の第三次報告(注4)においても、「次期中期目標期間における国立大学法人運営費交付金の配分については、各大学の厳格な評価に基づいた配分が不可欠である。一律的な配分は行うべきではない」と述べ、第二次報告より一歩踏み込んだ表現をしている。もはや、運営費交付金の算出方式を標準外形的な指標を基にしたものから、評価を基礎にした配分へと改変することが企図されていることは明白である。我々は、1%を守らず1.9%にしたから許せない、という水準からだけではなく、運営費交付金の性格の質的転換という観点からも来年度予算とそれをとりまく状況を分析しなければならない。新春早々、1月12日の『学習・討論会』(注5)では、2010年大学大再編との関係からも来年度予算の分析を進める予定である。

なお、12月25日付けの(独)国立大学財務・経営センター メールマガジンにおいてより詳細な政府予算案の概要が紹介されている。それによると、運営費交付金の削減額230億円の主な増減要因は、閣議決定(基本方針2006)による1%減で120億円の減、退職手当所用見込額の減等で110億の減とされている。近々同センターのサイト(注6)にアップされると思われるので参照されたい。ただ、言及されている数字については、昨年2月に本事務局が述べたように(注7)、削減額を少なく見せる“偽装”の疑いがあることを指摘しておきたい。

注1 http://www.shutoken-net.jp/2007/12/071222_4jimukyoku.html
注2 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizai/kakugi/070619kettei.pdf
注3 http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/index.html
注4 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/houkoku.html
注5 http://www.shutoken-net.jp/2007/12/071206_6jimukyoku.html
注6 http://www.zam.go.jp/index.htm
注7 http://www.shutoken-net.jp/2006/02/060213_10jimukyoku.html

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