時事通信配信記事 2007年12月22日付 義務教育国庫負担金が0.8%増=文科省内示 文部科学省の2008年度一般会計予算内示額は、07年度比0.1%減の5兆2669億円となった。「子どもと向き合う時間の拡充」に向け、公立小中学校と特別支援学校で約1200人の教職員定数改善を実施するのが目玉。義務教育費国庫負担金は、0.8%増の1兆6796億円となり02年度以来の増額となった。 定数改善の内訳は、改正学校教育法で新設された「主幹教諭」に1000人、特別支援教育に171人、栄養教諭に24人。教職員定数については行政改革推進法が削減を定めており、今回の予算編成でも同法の扱いが焦点となったが、合理化により用務員や給食調理員らを削減した分を、定数1000人増に充当。残りの195人については、求職や研修中の教職員の分を充てるという考え方で、同法を改正せず定数改善を実施する。 教職員関係では「骨太方針2006」に盛り込まれ、懸案となっている教員給与見直しに08年度から着手する。人材確保法による教員給与の優遇分として2.76%を削減することが決まっているが、08年度はその一部として19億円(国費)を削減。一方で、副校長、主幹、指導教諭の給与上の処遇と手当の拡充で24億円(同)を増やす。 給与見直しの最大のポイントは、残業手当の代替措置として給与月額の4%が一律支給されている「教職調整額」の扱いだった。同省は、教員それぞれの繁忙度合いに応じて支給額に差を付ける方針だったが、法制的な検討の結果「個々の教員の評価に応じて支給額を変えるのは困難」との結論となり、見直しは09年度以降に持ち越された。 定数増の国費負担分は23億円で、給与改善による国費増加分は5億円にとどまる。義務教育費国庫負担金の増加要因の大部分は、07年人事院勧告による国家公務員給与引き上げに伴う教員給与引き上げ分で、100億円強が見込まれる。 初等中等教育関係の新規事業としては、7000人の非常勤講師を配置する「退職教員等外部人材活用事業」(29億円)や学校支援地域本部の設置(1800カ所で50億円)などが盛り込まれた。09年度に導入される教員免許更新制の円滑な実施に向け、更新講習の研究を大学に委託する事業や、免許更新制の情報提供のための事業費用として4億円を確保した。 高等教育関連では、大学運営費交付金が1.9%減の1兆1813億円。骨太方針で規定された1%減に加え、退職手当の調整で0.9%のマイナスが出た。私学助成も骨太方針にのっとり1.0%減の3249億円。 一方、「教育の機会均等の観点」から日本学生支援機構の奨学金事業は大幅に拡充。貸与人員を7万5000人増やす。また財政融資資金を使った有利子貸与について、大学生の場合、現行の貸与月額の最高額は10万円だったが、これを12万円に引き上げ、大学院は13万円から15万円とする。 文化庁予算は前年度並みの1017億円。文化財の保存整備、活用に手厚く配分された。スポーツ関係も1.5%増の190億円を確保。北京オリンピックに向けた選手強化やドーピング防止活動事業を拡充する。 科学技術関係では、「再生医療の実現化プロジェクト」に07年度と同程度の10億円が盛り込まれた。同プロジェクトには、山中伸弥京都大再生医科学研究所教授らが世界で初めて作成し、新世代の万能細胞と期待される「人工多能性幹(iPS)細胞」の研究も含まれている。 |