『読売新聞』2007年12月21日付

阿南市 阪大大学院工学研究科 まちづくりで協定締結


阿南市は21日、産業振興などの分野で魅力あるまちづくりを進めるため、大阪大学大学院工学研究科と協定を締結する。市が抱える課題について大学と共同で研究するほか、教授陣から受けるまちづくりの提言を、市の施策に反映させる方針。市は「大学を窓口に、関西圏とのつながりを深めることで、交流人口の拡大や企業誘致などにつなげたい」と意気込んでいる。

協定は岩浅嘉仁市長の公約の一つ。関西圏の大学で工学と経営の両面を研究する専攻があり、阪大出身の阿南工業高等専門学校校長が橋渡しをした。協定では産業や文化、教育など各分野について▽市と大学の知的・物的資源の相互活用▽共同の調査研究・委託事業の実施▽人的交流の促進――を掲げている。来年1、2月で協議を重ね、市の新年度当初予算に関連事業費を計上したいとしている。

このほか、教授陣が市民対象に講演することも検討。大学側との交流を深め、人脈を培って関西圏の企業誘致に生かせればとの考えもあるという。

大学側は、工学研究から経営戦略まで精通する人材養成を行う大学院工学研究科ビジネスエンジニアリング専攻が窓口を担当。すでに同専攻の2教授が阿南市を訪れ、市政の現状や課題について説明を受け、辰巳工業団地や火力発電所周辺を視察した。訪れた座古勝教授は「阿南市の発展のために、まちづくりの諸問題の解決につながる提案ができれば」と話す。

岩浅市長は「関西は決して遠くない。観光面で人を、産業面で企業を引っ張りたい。将来は職員が大学で研究したり、学生が市役所で就業体験をしたりできれば」と話している。