『京都新聞』2007年12月22日付

京大と立命大が包括協定
「基礎」と「応用」連携


京都大と立命館大は21日、学術交流に関する包括協定を締結した。マイクロ体内ロボットを使った薬剤搬送システム(DDS)の開発など「薬工連携」のほか、地球環境問題や産官学連携などで協力し、研究の高度化と社会貢献を進める。

京都市内のホテルで同日、尾池和夫京大総長と川口清史立命館大学長が協定書を交わした。当面は「薬工連携」「地球の自然回帰への共同提案」「基礎学術連携と施設設備の共同利用」「産官学連携組織の連携」の4点で、「基礎の京大」「応用の立命」というお互いの強みを生かす。

京大は生命科学など基礎研究の実用化に向け、産官学連携で実績のある立命館大のノウハウを活用する。立命館大は生命科学部と薬学部の開設、日本の課題解決を目指す「立命館グローバル・イノベーション研究機構」の始動を機に、京大との連携で研究の高度化を狙う。年明けにも京大薬学研究科と立命館大理工学部による新たなDDS開発を始める。立命館大での京大職員の研修も計画している。

尾池総長は「二大学のかかわりは深いが、協定によって新しい芽が出ることを期待している。研究だけでなく、教育に関しても議論したい」、川口学長は「京大の研究の蓄積と深い精神性に立命館の機動性をつないで、日本の科学技術のブレークスルーに役に立ちたい」と話していた。

京大は京都市立芸術大、早稲田大、慶応大と、立命館大は京都府立医科大、滋賀医科大、関西医科大と、それぞれ学術交流協定を結んでいる。