『高知新聞』2007年12月13日付

高知大教授ら 学長選考無効と提訴へ
再任の「瑕疵」問う


高知大学が国立大学法人移行後に初めて行った学長選考で、現学長の相良祐輔氏(72)の再任を決めた学長選考会議の決定に対し、学内で抗議活動を展開している教授らが12日までに、同会議の決定無効を求める訴訟に踏み切ることを決めた。相良氏の対立候補となった同大大学院黒潮圏海洋科学研究科長の高橋正征氏(65)が原告となり、年内に同大を相手取って高知地裁に提訴する方針。

不透明な学長選考過程を法廷の場で明らかにする。

(高知大学長選考取材班)


国立大学法人高知大を被告に、選考会議の決定無効を確認する内容。訴えの資格(原告適格)の観点から高橋氏が原告となるが、決定無効を訴えてきた学内の教職員らが全面的に支援する。

教授らによると、裁判は、同会議が相良氏を再任した一連の過程における「瑕疵(かし)」が争点となるもよう。二通りの票数が判明し、同会議自体が「ミスか不正があった」としている意向投票の結果を参考にしたことなどの正当性を問う。

12日には「公正な学長選考を求める会」(代表世話人=小澤萬記・人文学部副学長)が同大教職員組合と学生有志に呼び掛け、新たに「公正な学長選考を求める裁判を支える会」を結成。集まった約100人の前で、原告となる高橋氏が「2千人を超える学生の署名や教職員の声に背中を押された。現学長は大学改革をなぜ進めるのかの問いにも答えていない。高知大のためにも引き受けた」と表明した。

国立大学法人移行後の学長選考をめぐっては、学内意向投票の結果と学長選考会議の決定の食い違いから、滋賀医大や新潟大で訴訟が起きているが、「選考過程の瑕疵」が争点となった例はない。提訴を決断した小澤代表は「法廷の場で選考のあり方と経過を明らかにし、透明性のある大学運営につなげたい」としている。

同大の学長選考は10月17日に行われ、理事と学部長、学外有識者の11人で構成する「学長選考会議」(議長・篠和夫農学部長)が相良氏再任を決定(同日は1人欠席)。しかし不透明な学内意向投票などをめぐり、農学部と医学部を除く教授会や学生有志らが決定無効を求める決議や署名活動を展開。それに対し、選考会議は選考を白紙に戻す考えのないことを強調。大学側は相良氏の再任に向けた事務手続きを進めている。