時事通信配信記事 2007年12月10日付 国立大学法人の資金運用に投信解禁へ=文科省 文部科学省は、国立大学法人の資金運用や投資に関し、制限を緩和する方針を固めた。発足から3年以上がたつ同法人は、国からの運営費交付金が毎年1%削減されるなど経営環境は厳しく、資金調達方法を多様化する狙い。当座使わない資金の投資信託での運用や、大学発ベンチャーに対する直接投資などを認める方針で、早ければ2008年の通常国会に国立大学法人法改正案を提出する。 国立大学は、同交付金のほか、授業料や寄付金などの収入で運営されている。収入の中から一定期間は使わない「余裕金」が出た場合、現行でも運用することは可能だが、独立行政法人通則法に基づき国債や地方債のみに対象は制限されている。 同省は、現行のローリスク・ローリターンの運用方式を「中リスク・中リターン程度まで」(国立大学法人支援課)広げる考え。その代表例としてリスクが分散される投資信託での運用を想定している。ただ、現在の市場は、米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題の余波が続いていることから、慎重に運用先を検討する。 また、同省は投資対象も弾力化する方針。現行の国立大学法人法は投資対象について、国立大学の研究成果を活用・促進する事業であって「政令で定めるものを実施する者に出資すること」と規定。事実上、同省の承認を受けた技術移転機関(TLO)に限られている。 TLOは、大学の技術、アイデアや発明を特許化などし、民間企業に結び付けるいわば「仲介」機関。こうした技術やアイデアを活用して直接起業する場合には、大学が直接出資することができず、大学教員が個人で出資しているケースが多いという。同省は、研究活動のすそ野を広げるためにも、大学が直接ベンチャーに出資することを可能とする方針だ。 |