『日経ネット関西版』2007年12月6日付 知力立圏 第4部 競争力解剖(上)――研究拠点ランキング、将来性は「神戸」首位 近畿圏の主要な研究開発拠点で今後、最も成長が期待されているのは神戸医療産業都市――。日本経済新聞社がまとめた「近畿圏の研究開発動向調査」では、10年後に地域活性化に役立つ拠点を産官学の担当者に聞いたところ、神戸が1位に評価された。来年、構想から30年を迎えるけいはんな学研都市や大阪府が力を入れる大阪北部創薬拠点・彩都は伸び悩む結果となった。 10年後の評価がトップの神戸は、拠点のイメージに「施設や交通網等のインフラが整っている」(36.2%)「関連企業や研究所、公的機関が集積している」(30.4%)が挙がる。神戸空港に近い立地に加え、2010年度に国の次世代スーパーコンピューター施設が稼働。今後の高度な研究に有利に働くとの見方が強いようだ。 究極の医療とされる「再生医療」の産業化という先見性ある目標を掲げたことも評価されている。理化学研究所や関連ベンチャーも誘致。高齢化時代に成長力が大きいと期待を抱かせた。 東大阪は10年後を1位とする回答だけ見ると神戸に並ぶ。「我が社の分析機器などの主要部品は、東大阪の加工技術が支えている」(堀場製作所)というように、ものづくり産業を支える拠点としてのイメージが定着、地域の活性化に欠かせないとみられている。 現在最も評価されているけいはんなは伸び悩む。国主導で街づくりを進めてきた関西の研究開発拠点の代表格だが「地域戦略に合ったテーマを設定し、地元経済に相乗効果がある」との回答は8.7%に低迷。各研究機関の研究目標がバラバラで、集積効果が発揮できるかどうかに疑問符が付いた格好だ。 彩都については「研究所を核に居住者が増えている」との回答が2割あった。一方で昨年、武田薬品工業の研究所誘致に失敗するなど、企業と自治体、大学の連携やブランドイメージの確立に不安を残した。 ▼調査の方法 日経リサーチの協力を得て、近畿圏の主要企業70社、大学49校、自治体28、公的研究機関23の170団体に調査票を郵送した。有効回収率は40.6%。近畿の9カ所の研究開発拠点について地域活性化への貢献度を産官学の担当者に聞き、1―3位票をもとに現在と10年後の順位をまとめた。 |