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第168回国会衆議院文部科学委員会
平成19年10月24日 会議録(抜粋)

○牧委員 (略)
 次に移ります。
 山形大学の学長選について、大臣の所感をお聞かせいただきたいんです。これが新聞等でも取り上げられたのは、一つは、学長に選任された方が、つい七月まで文科省の事務次官をされていた結城章夫氏であるということ、そしてもう一つは、この学長選の選考の過程そのものがやや不透明じゃないかなというような指摘もあったことで、これがマスコミにも取り上げられたんだろうと思います。
 この学長選挙というのは四人が出馬をされて、当時、工学部長が三百七十八票でトップですね。これは教職員の選挙です。結城氏は三百五十五票で二位だった。その後の学内外の委員による選考会議で、教職員の意向が覆されて、結城さんが学長に就任をされたということですけれども、これは表面をとらえれば、一般的には、だれが見ても、これは天下りなんじゃないかなというふうに言われても仕方ないと思うんです。これは、国立大学法人化で、学長を選考するその仕方についても規定をしていますから、これは法律違反ではないと多分おっしゃると思うんですけれども、ただ、これは世間から見たら、天下りじゃないかと言われてもいたし方ないと思うんですけれども、大臣、どう思われるでしょうか。

○渡海国務大臣 牧委員、今お話しになりましたような経緯で選考されております。ですから、これは決まったルールに基づいてそういう投票が行われて、結果として結城さんが選ばれたということでありますから、それをもってどうのこうのということはないんだろうというふうには思います。ただ、意向投票というのを教授会が行っておりますから、その結果が選考会議でひっくり返されたというところで、そういう意見が出ているというふうに承知をいたしております。
 ただ、これは天下りと見るかどうかということにつきましては、これはやはり通常の天下りとは違うんだと思うんですね。違うと思いますよ、これは。これは、要は、学校側がそういう形で要請をし、そして立候補して選挙が行われたということ。では、そのルールは一体何だったんだと、こういう話になるわけでありますから、意向投票と選考会議の投票が違って裁判になったという大学もあると聞いておりますから。意向投票をやるやらないの議論も出ているようでございます。
 ただ、選考手続として、この選考会議を設けて、しかも片っ方には外部委員を設けてという制度の中で行われていることでありますから、やはりこれは天下りというふうに一概に言い切ることはできないというふうに考えております。

○牧委員 確かに大臣がおっしゃるとおりだとは思うんですね、形式的には。ただ、この選考がほかの大学でもあったと。要するに、学内の選挙が覆された例、それはいろいろ、事件と言うとあれですけれども、裁判になっているのもあるわけですね。岡山大学、新潟大学、滋賀医大等々であるわけですね。
 やはり、きちっと透明化を図るべきであるとまず一つ思うことと、もう一つは、やはりこれには一定の背景があると私は思っております。先ほどの経済財政諮問会議の話じゃないですけれども、国立大学法人の運営費交付金そのものもこれから先は競争資金化していこうじゃないかというような話も出ている中で、特に地方の国立大学法人は大きな危機感を持っていると思います。そういった危機感については文科省の中にも私はあるんじゃないかなと思うわけで、先ほどの私学の定員割れの話とも相通ずるところがあると思うんですけれども。
 そういう中で、ここはやはり元次官に一遍ここへ来てもらって、地方国立大学の経営のあり方というのはこういうものだと、ひとつ全国に範を示すような意気込みで結城さんが乗り込んでいってこれをやってやろうというのであれば、これは余人をもってかえがたい人事であるという形で、説明も私はある意味ではつくんじゃないかなと思うわけです。
 何となくこういうわかりにくいやり方で決まってしまったというのは、これは不幸の始まりであって、私は善意に解釈をしながら、今勝手に申し上げたんですけれども、逆に悪意でとらえれば、今度その国立大学の、特に地方の大学の運営がこれから厳しくなるという中で、これから文科省の天下りをどんどんどんどん採用していかないと、もう経営が立ち行かなくなるよという一つの前例に、悪意の意味で見れば、そういうふうにもとられかねないわけですよ。
 私は、だからこそ、これはやはりきちっとした基本を定めるべきだと思うし、今回の人事についても、たまたまこうなった、向こうから要請があってこうなったというような話じゃなくて、文科省なら文科省の言い分があるのなら、意向があるのなら、それはやはりきちっと私は示すべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○渡海国務大臣 私が思いますのは、これはやはり基本的にルールがあって、そこで選挙が行われている。確かに牧先生おっしゃるように、私も初め何ということだと正直思ったんですが。ただ、基本的にそういうルールが決められているわけですね。ただ、内部の意見としては違う意向が出たから非常に複雑になっているということだと思うんです。それだったら、初めからやはり教授会で物を決めるというふうなルールをつくらないと、このルール自身がこれでよかったのかという話になると思います。
 それからもう一点は、不透明だとおっしゃいますが、これはちょっと違うと思うんですね。それは牧先生のことを否定するわけじゃないんですが、ちゃんと、何票あって何票でと、こうやられておる。
 それからもう一点は、これもあえて言わせていただいたら、これから国立大学法人は、運営費交付金というのは、これも基本的な決まったルールで算定をされて配られるわけでありますから、あとは競争的資金というのは、いわゆるグラントのとり方というのは、それはノウハウがあるかもしれません。あるかもしれませんが、基本的に、やはり申請をしていただいて、それをちゃんと評価すべきところで評価をしていただいて、とるわけですから、学長がとるわけじゃありませんから。それは個人の先生方がお出しいただいて、もちろん研究でとる場合もありますけれども。
 ですから、そこの部分について、確かに説明されるということはいいことだというふうに思います。ただ、ここで説明されるということでありましたが、それは国会のお決めいただくことでございますから、私がとやかく言うことではないと思いますけれども。

○牧委員 これもまた別途、ちょっと時間をとって、深いところで話さなきゃいけないと今改めて思いました。
 私が申し上げたのは、科研費の競争的資金の話だけじゃなくて、運営費交付金の部分にまで競争資金化を図ろうという経済財政諮問会議の話があったから危機感があるんじゃないかという意味で申し上げたのであって、そういう意味で、またこれから、さらに深い議論をしていきたいと思います。
(略)