『西日本新聞』2007年11月16日付

県内3大学 「全入時代」にらみ魅力発信 基金創設や感謝イベント


県内の3つの大学が今月1日、それぞれ創立記念イベントや記者会見を開いて大学の魅力向上をPRした。入学定員と志願者数が同じになる「大学全入時代」が目前に迫る中、大学間の競争が加速している。

熊本大(熊本市黒髪)は同日、「熊本大学基金」の創設を発表した。発起人約700人による寄付金などで、奨学金の充実や研究の助成、地域の産業創生などを図る。

同大の崎元達郎学長は「これまでも地元企業などからさまざまな支援をいただいているが、組織的に取り組むことで財政基盤を強化し、社会に寄与したい」と設立意図を説明した。

基金創設の母体となる「支援者会」の設立式典で発起人代表の平田耕也・平田機工会長は「親方日の丸では、もうやっていけない。地域に根差した知の集積の場になってほしい」と激励した。

崇城大(同市池田)は同日、「創立40周年感謝の夕べ‐未来に向かって地域とスクラム」と題し、約700人を招待して同市内のホテルで大々的にパーティーを開いた。招かれたのは教育分野、地域の自治会、学生の下宿先などの関係者たち。「日ごろの感謝の気持ちです」と担当者は話す。

建築学科の研究室が街づくり活動として取り組む竹灯籠(とうろう)の光に包まれた会場で、学生たちは吹奏楽やアフリカの太鼓「ジャンベ」の演奏、大学紹介ビデオの上映などがあった。

同大は熊本市をはじめ県内外11地域と連携協定を結んでいる。同大の中山峰男学長は「地域との連携をさらに深め、期待に応えるよう努力したい」と地域の中の大学の在り方を強調した。

平成音楽大(御船町)は創立35周年記念事業の一環として、敷地内に「平成音楽大学コミュニティセンター」を開設。同日、オープンイベントを開き、学長らがテープカットをして開設を祝った。

センターは木造でモダンな建物。学生や教職員、卒業生などの憩いの場として使うという。「集える場が、これまで小さなサロンや学食くらいしかなかった。誰もが気軽に語り合える場を作りたかった」と担当者。野外デッキもあり、ゆくゆくは学生らによるミニ演奏会も構想しているという。