『西日本新聞』2007年11月14日付

女性医療人、生涯現役で 九大病院が支援組織 出産・育児離職の復帰促進


九州大学病院(福岡市東区)は、女性の医師や看護師が生涯現役で働くことができる環境づくりを進める「女性医療人教育研究実践センター」を設立し、13日、始動した。九州では初の試みで、出産や育児などで現場を離れる割合が高い女性の医療従事者の実態調査や復職を促す体制整備などに取り組む。

女性医師は医師国家試験合格者の3割強に上る。20代の若手では、医師不足が深刻化している小児科医の半数、産婦人科医の3分の2を占めるとされ、離職対策が急務となっている。

計画では、医師会や看護協会と協力し、医療現場を離れた女性医療従事者の人材バンクを設立。内外に情報を提供するほか、ジェンダー(社会的性差)に関する授業を医学部教育に取り入れ、意識改革も図るという。

さらに、育児や介護などで常勤が難しい医師や看護師のために「女性医療人ステップアップ外来」を新設。休職中の女性医師4人が2人1組で交代勤務するなどして運営し、復職を支援する。

プロジェクトは3年の予定だが、活動を継続するため、センターの特定非営利活動法人(NPO法人)化を図る。

水田祥代(さちよ)院長は初会合で「男性を含めすべての医療人が働きやすい職場環境づくりを目指したい」と抱負を述べた。