『日本経済新聞』2007年11月14日付

東北大発VB、医工学の診断や治療技術を事業化


東北大学先進医工学研究機構(TUBERO)の阿部宏之教授らのグループはこのほど、医工学の診断や治療技術を事業化するベンチャー企業、クリノ(仙台市、若菜重一社長)を設立した。一つのテーマに特化した従来の大学発ベンチャー企業の形態とは異なり、参加する研究者の研究課題を個別に事業化し、クリノが持ち株会社となって支援する体制を目指す。地元金融機関を中心に出資者を募り、来春から活動を本格化する。

クリノの社長にはキリンビール元東北支社長で現在はTUBERO広報室長を務める若菜氏が就任。阿部教授に加え、アルツハイマー病治療を研究する工藤幸司教授、血管内治療器具を開発している山内清教授、糖尿病治療で知られる後藤昌史准教授の4人の研究者が取締役に就いた。

クリノは研究テーマの事業化に向けた販路開拓や資金調達、管理業務などを担う。研究者はそれぞれのテーマで事業化を目指し、独立採算制を採る方向。研究費は東北大学が負担し、特許権も帰属。クリノが特許使用料を支払う。