『山陰中央新報』2007年11月7日付 島根ワイド : しまね産業活性化へソフト系IT企業も重点 島根県が今後数年間で取り組む産業振興策を話し合う「しまね産業活性化戦略会議」が六日、松江市内であり、新たな重点分野として、ソフト系IT企業の振興を加えた。関連企業の誘致促進に向け、五年間、社員の出張の際の航空運賃を半額助成するなど、優遇制度を大幅拡充して「産業立県」を目指す。 重点分野は、従来支援してきた製造業を中心としたものづくり産業、観光や健康食品などの地域資源を生かした産業を含めた三つ。 このうち、ソフト系IT企業の振興では、世界的に注目されているコンピュータープログラミング言語「Ruby」(ルビー)の開発者が松江市在住であることを踏まえ、島根県をRubyのメッカとする目標を掲げた。 具体的には、県を仲介役に特別共同企業体を組織するなどし、Rubyを使ったソフト開発の受注に備える。さらに、県が主導し、松江高専や島根大学などと連携した人材育成策を展開する。 しまね産業活性化戦略会議のソフト系IT産業誘致検討部会の試算によると、同産業で二〇一〇年度に、雇用は五百人増の千六百人、売上高は五十億円増の百五十億円を見込んでいる。 委員からは「業務の効率化、改善だけでは競争に勝てず、新たな産業や技術の開発が不可欠」と、成長が見込める分野を絞り、支援する県の手法を評価する声が上がった。 一方、論議の大半をIT産業に費やした点に「新しさもいいが、既存企業が抱える課題を洗うことが新たな誘致につながる」との指摘もあった。 県は今月中に、戦略をホームページで公表する。 産業振興は、今春就任した溝口善兵衛知事が財政健全化に並ぶ重要課題として位置付け。同会議は自らを座長に、県内外の有識者や企業のトップら十四人で構成した。 |