『北海道新聞』2007年11月4日付 国立大学法人施設 宿泊やめても返金なし 利用者「役所仕事だ」 道内の国立大学法人が運営する大学関係者向けの宿泊施設の一部で、利用者が宿泊料を事前に支払った後、日程変更などで予約を取り消しても、返金されずに全額没収されるケースが続いている。利用者からは「法人化で民間の経営感覚が求められているのに、あまりにひどい“お役所仕事”だ」と批判が出ている。 宿泊施設は大学教職員や学外の研究者などが対象で、一般の利用はできない。道内では七国立大法人のうち北大など五大学にあり、宿泊料は一泊二食付きで一人三千円程度。五大学の利用規則はいずれも「利用料は前納し、既納の利用料は還付しない」と定めている。 帯広畜産大の男性教授(59)は八月末、共同研究のため同大に招く団体職員と自分の宿泊を予約、三千四十円を前払いした。その後日程が変わったため、九月上旬に予約を取り消し、大学事務局に返金を求めたが、規則の存在を理由に断られた。この教授は「民間ホテルと同様、キャンセル料方式にすべきだ」と不満を漏らす。 一方、北大は「返金しないのは常識的でない」(施設管理課)として規則を柔軟に運用、キャンセルの場合は全額を返している。小樽商大、室蘭工大、北見工大は「宿泊が確定するまで料金を支払わないよう利用者に言っている」と話す。 文部科学省会計課は「返金は各大学で決めること」とした上で、返金しないと定めた各大学の規則について「事務手続きが煩雑だった国立大時代の名残」とみる。国立大の場合、国庫に入った収入の返還には新たに国に予算を求める必要があったため、「返金しない」と定めた大学が多かったという。 大学側は、法人化による規定変更作業が膨大だったことなどから、「規則を改正する必要性に気が付かなかった」(帯畜大)と説明。今後、改正を検討するとしている。 |