選考会 質問状に未回答
波紋広がる高知大学長問題

『高知新聞』2007年10月31日付


高知大学の学長選考会議の決定をめぐり、同大人文学部などの教授会が同会議議長などに出していた公開質問状の回答が、期限の29日をすぎてもなく、教授側から「教授会の総意を踏まえた学内の公文書を軽視している。誠意が全く感じられない」と反発の声が広がっている。(高知大学長選考取材班)

同大の学長選考は「ミスまたは不正があった」とされる学内意向投票の結果を参考に、学長選考会議が17日、相良祐輔学長の再任を決定。これに対し教育、人文、理の三学部と大学院黒潮圏海洋科学研究科、センター連合教授会が臨時教授会を開き、意向投票の真相究明と選考会議の決定無効などを決議。学生も署名活動を行うなど学内外に波紋が広がっている。

教授側「公文書軽視だ」

質問状は、人文と黒潮圏が、選考会議の篠和夫議長、意向投票の事務を監督・統括する河本朝光事務局長、相良学長にそれぞれ提出。

篠議長に対しては▽信ぴょう性のない意向投票結果を基に、そもそも選考会議が開催できるのか▽学長選考で議長が議決権を行使しなかった理由▽真相解明のため第三者による調査委員会を立ち上げる考え−−などについて回答を要請。

河本事務局長には▽委員会の了承なく事務職員が票に抵触したことに対する見解▽「不正行為」の可能性があるとした根拠▽なぜ速やかに真相解明の指揮を執らなかったか−−などと質問。

一方、相良学長には今回の混乱について学内の最高責任者としての見解をただしたが、同学長は24日付文書で「選考会議の独自性は極めて強い。大学組織の長が軽々にかかわることは国立大学法人法に抵触し、本学の将来に大きな禍根を残す。学長に全学的要望で全権を委任してくれるなら、その時点で対応を考える」と回答した。

選考会議議長が期日までに返答しなかったことについて、河本事務局長は「17日の議事要録を基に、選考会議としての見解をまとめている」とし、自身の回答についても「選考会議の見解が出ないと個人の考えを述べるわけにいかず、差し控えた」と話している。

こうした姿勢に人文、黒潮圏の教授らは「公文書である教授会の決議や質問状を軽視している」「何事も不透明に行ってきた執行部の体質が出ている」と主張。相良学長の回答についても「大学の構成員が、誠意ある回答と対話を求めているのにそれすら分かっておらず、怒りを通り越してあきれる」としている。

この問題をめぐり、31日午後零時15分から同大朝倉キャンパスで教職員組合と学生らの共催による「公正な学長選考を求める全学集会」が開かれる。