『山陰中央新報』2007年10月30日付

教員免許更新制で中国国立五大学が連携模索


中国地方の国立五大学の教育系学部が、二〇〇九年度に導入される教員免許更新制に向け、更新講習の受け皿として、広域連携の可能性の検討に着手する。膨大な数の受講者を抱えることになる各大学が、講師となる大学教員の融通、多様な教科への対応について協力して取り組んでいく構え。初会合を一日、松江市内で開く。更新講習での大学連携は全国で初めてで、文部科学省も積極的にバックアップする姿勢を示している。

教員免許更新制は〇九年度に始まり、教員免許の有効期限が十年となり、期限前の二年間に計三十時間の講習が義務付けられる。

中国地方では制度導入後、現職教員の受講者が年間約八千人に上る見通し。各県の教員数や、講師となる大学教員、公・私立大の数など状況は異なるが、「ヒト・モノ・カネ」の面で、受け入れの中心となる国立大学の負担は大きい。また、制度を円滑に実施するための講習の充実が求められ、受講者の多様なニーズへの対応も課題の一つとなっている。

初会合には五大学の教育学部長らのほか、文部科学省の担当官が出席し、「中国地域教員免許更新システム推進機構」(仮称)の創設に向けて検討する。構想では、域内で講座を開放し、講師となる大学教員を融通するほか、受講が困難な中山間地域でサテライト講座を共同で開講。さらに、講習内容の一覧や空席状況を表示するWEBサイト開設の計画も浮上している。

今年四月に教師教育研究センターを新設し、更新制度への対応準備を進めている島根大学教育学部の高岡信也学部長は「コスト面など連携の課題はあるが、検討を重ねて実現の方向につなげていきたい」と話している。