『東海日日新聞』2007年10月30日付

豊橋技科大学長に榊佳之氏


任期満了(来年3月31日)に伴う豊橋技術科学大学次期学長選挙は29日、投開票され、東京大学名誉教授で独立行政法人理化学研究所ゲノム科学総合研究センター長、榊佳之氏(64)=横浜市=が6代目学長に決まった。同大と直接的な関係はなく外部候補だったが、開学に心血を注いだ初代学長・榊米一郎氏(94)=名古屋市=の長男であり、新しい時代の技科大のあり方を熱っぽく説き、幅広い支持を集めた。

学長選は今月23日に同大副学長、神野清勝氏(62)▽同大名誉教授、川上正博氏(65)▽榊氏の3人による所信表明が行われ、この日投票、即日開票された。投票有資格者は285人で、助教(旧助手)以上の教員211人と係長以上の事務職者74人。

1回目の投票で、有効投票230票に対し、榊氏94票▽神野氏73票▽川上氏63票となり、過半数を制する候補がいなかった。そのため、上位2候補による決選投票が行われた。

有効投票248票に対し、榊氏130票▽神野氏118票となり、榊氏が次期学長候補となった。この結果を受けて、学長選考会議(議長=小林俊郎副学長)を開き、正式に6代目学長に決定した。

小林副学長(議長)が校内で記者会見し、選考経過などを説明。「榊先生は遺伝子・ゲノムの教育・研究者。医科学分野を先導してきた。医・工連携とか農・工連携など、境界領域の開発に期待できる」と評価した。

榊氏は23日の所信表明で「博士課程まで進む大学院生を増やして、さまざまな研究分野で国際競争力をつけるべきだ。先生の子弟が入りたい大学にしたい。らせん型教育は誇るべき教育システムだ」などと語り、ニューフロンティアやチャレンジを訴えた。30日に改めて記者会見し、抱負などを語る。

【解説】榊佳之氏は豊橋技科大の榊初代学長の長男。これに対し、候補者のひとり、川上氏は長岡技科大の初代学長、故川上正光氏の長男だ。川上正光氏は直前まで豊橋技科大の初代学長と目されていたが、直前に榊氏が豊橋技科大の学長となり、川上氏が長岡技科大の初代学長に就いたという経緯があった。歴史のめぐり合わせか。

国立大学法人化による大学運営改革、名大との統合(再編)問題など、大きな課題を抱えており、トップの学長に西永頌(たたう)現学長に続いて、外部招聘(へい)の道を選んだ。榊氏は、西永路線に最も近いと言われる。  (山崎祐一)