『毎日新聞』北海道版2007年10月26日付 ほっかいどう 進む国公立大連携 生き残りかけ模索 ◇単科系、特性生かし 単科系が多い道内の国公立大で大学間連携を進める動きが目立っている。連携には文系と理系、あるいは医療系同士、地域間とさまざまな組み合わせがあり、小回りの利く特性を生かし、総合大学に負けない教育、研究レベルを目指す。法人化移行や全入時代を迎え、生き残りをかけた模索が続く。【千々部一好】 □■背景に厳しさ 小樽商大は札幌医大、道東海大、室蘭工大、道薬科大と、タイプの違う4大学と個別に連携協定を結んだ。秋山義昭学長は「国からの予算は毎年削られ、研究実績に基づいた競争的資金が配分される厳しい時代に入った。地域から必要とされる大学に変わることが求められている」と話す。大学間連携は生き残りをかけた選択と強調する。 2年前に連携した札幌医大では、小樽商大の教員が病院経営を学ぶ講座など文系の特性を生かした授業を担当する。道薬科大との連携では薬局経営のノウハウを学ぶ講座の開設を検討している。 □■橋渡し役が重要 大学間連携の鍵を握る一つが、文部科学省が01年度から設置している仲介役「産学官連携コーディネーター」だ。担当する大学の研究成果を把握して、他大学との連携の可能性を模索するほか、企業や市町村との共同研究の橋渡し役も務める。道内では北海道大など6大学に配置されている。 札幌医大と小樽商大でコーディネーター役を務める一瀬信敏さんは、札幌医大と帯広畜産大で進められるがんワクチンの研究や、札幌医大と室蘭工大の研究チームが共同開発するリハビリ器具づくりを仲介した。現段階では教員レベルだが、研究が成功すれば大学間連携の引き金ともなる。 □■出張講義も 網走管内では、北見工大(北見市)、赤十字道看護大(同)、東京農大網走(網走市)の3大学すべてが単位互換協定を結んでいる。しかし、北見−網走間は車で1時間と遠く、単位互換を利用する学生は少ない。そこで、教員が出張講義することも検討している。 北見工大は来春の学科の再編で、バイオ・食品コースを新設する。同じような学部のある東京農大との協力が重要となり、年内にも包括提携を結ぶ準備を進めている。 道教育大は大学間ではなく、企業や団体、教育委員会との連携に力を入れ、他大学とは違う道を模索する。このほか、北海道大電子科学研究所と大阪大産業科学研究所が連携協定を結ぶ予定で、部局単位で連携を進める動きもある。=金曜日に掲載します ============== ◇道内の主な大学間連携◇ 連携大学名 提携時期 主な内容 北見工大、東京農大網走、日赤道看護大 03年 1月 単位の互換が中心 小樽商大、札幌医大 05年10月 病院経営などで協力 小樽商大、道東海大 05年10月 文理融合の共同研究 札幌医大、道医療大 07年 3月 チーム医療の研修 小樽商大、室蘭工大 07年 9月 文理融合の共同研究 小樽商大、道薬科大 07年10月 教員の相互派遣 |