『高知新聞』2007年10月25日付

高知大学長問題 学生有志が署名開始
真相究明と説明求める


高知大学の学長選考問題をめぐり24日、同大人文学部などの学生有志が「公正な大学運営を求める学生の会」を立ち上げ、高知市曙町2丁目の朝倉キャンパスで署名活動を開始した。学長選考会議の決定に先立って行われた学内意向投票の「真相究明」と、同会議が現学長の相良祐輔氏の再任を求めた根拠について、「公開の場での明確な説明」を求めている。

同大の学長選考は「ミスまたは不正」があったとされる学内意向投票の結果を参考に学長選考会議が17日に決定。この経過が「不透明だ」などとして、これまでに農学部と医学部を除く各学部の教授らが相次いで選考会議の決定無効を訴えているが、学生が行動を起こしたのは今回初めて。

声を上げたのは、新聞報道や学内掲示などを通じて学長選考の過程を知った人文、教育、理学、農学部の学生十数人。24日、朝倉キャンパスでビラを配り、署名を呼び掛けた。

ビラは、意向投票が開票・集計された後に、“最集計”されたことによって、「二通りの得票数」が生まれた経緯を「一番の問題点」と指摘。「リポートや卒論を書くときは常に客観的データに基づいて論証を進めろとたたき込まれている。そのデータがねつ造、改ざんされたものなら最悪の場合、退学・除籍だ」「真実を重視すべき大学で、不正行為がうやむやにされるのは許されない」などと訴えている。

学生らは「今の大学は異常事態。意向投票に学生は参加できないが、黙って見ているわけにいかなかった」と自発的な活動であることを強調。今後、医学部のある岡豊キャンパスでも署名活動を始めるという。

また、これとは別に、人文学部の大学院生の有志も意向投票をめぐる真相究明などを求めて緊急声明を出す予定で、選考会議の決定は学生たちの間でも大きな波紋を広げている。

(高知大学長選考取材班)