『千葉日報』2007年10月22日付 研修後の勤務地を明示 県、医師確保策の増強検討 千葉大定員増へ奨学金 医師確保対策の見直しで、県が今年度から実施している後期臨床研修医への研修資金貸し付け制度について、研修終了後に働く病院をあらかじめ明示するなどの改正を検討していることがわかった。また、国が二〇〇九年度から、都道府県が学生に奨学金を出せば、各国立大学医学部の定員を五人増やす方針を打ち出していることについて、県は奨学金の支出も検討。定員増に向けて千葉大学にも協力を求めるという。 同制度は、高額の報酬で後期研修医を集める民間の大病院と、容易に給与を引き上げることができない地域の自治体病院との競争力格差を解消するため、今年度からスタートした。 医師不足が深刻な小児科や産科医、内科医らを対象に、給与とは別に月額二十万円を貸し付け。研修終了後、地域の自治体病院で貸し付けを受けた期間分を勤務すれば、返済する必要はない。今年度の予算は十人分で二千四百万円。 ところが、これまで同制度の利用者はゼロ。九月定例県議会では、植田浩副知事が「今のままでは使い勝手が悪い」と答弁し、早くも見直す方針を示していた。 県が現場の研修医に聞き取り調査を行ったところ、「いきなり地域医療の最前線は不安だ」「(研修後)どこに行くのか分からない」などの声が挙がっていた。 このため今回の改正案は、まず、地域の中核病院で常勤医師として地域医療を学び、それから医師不足が深刻な自治体病院へ出向させる。 行き先の病院も事前に明示した上、双方の病院の合計勤務日数が貸し付け期間を超えれば、返済は不要。また、これまで対象外だった外科医についても、貸し付け対象に加える方向で検討中だ。 ただ、返済義務がなくなった後も中核病院の常勤医師として働けるかは病院の意向次第。県では今回の制度改正の趣旨説明と併せて、継続して働けるよう各病院に理解を求める。 国立大学の医学部定員増については、都道府県が学生に対し奨学金制度を整備することが前提となっているが、県医療整備課は「国がせっかく認めてくれた枠。ぜひ前向きに検討したい」と、千葉大学にも協力を要請していくという。 |