『読売新聞』2007年10月20日付 国立大学も寄付金運用で株投資OK、文科省が法改正へ 文部科学省は、国立大学に対し、寄付金の一部を株式の投資信託で運用することを認めるなど“財テク”のための裁量権を拡大する方針を固めた。 大学での研究成果を基に起業する「大学発ベンチャー」への出資も認める方向で、資金を柔軟に活用することで国立大学の安定的な財政基盤を確保することが狙いだ。来年の通常国会に国立大学法人法改正案を提出する。 国立大学は、2004年に独立行政法人となり、国からの運営費交付金、授業料などのほか民間からの寄付金などの収入で運営している。運営費交付金は2005年度で総額1兆600億円に上り、各大学とも収入のほぼ5割を占めるが、04年度以降毎年1%ずつ削減されており大学経営を圧迫している。 寄付金については、06年度、87の国立大で計約693億円に上った。東大の102億円を筆頭に、九州大46億円、大阪大45億円と多額の寄付を受けた大学も多く、大学法人にとって寄付金の獲得や運用が重要になりつつある。 政府の教育再生会議も今年6月の第2次報告で「民間の寄付金運用の弾力化」を盛り込み、寄付金に限定した大学法人の資産運用を認めるように求めていた。 こうした状況を踏まえて、文科省は、寄付金の運用に関し、国債や地方債など元本保証のあるものに限定している点を法改正し、元本保証がない株式投資信託などへの運用も可能にする。また、大学の教員や学生などが研究成果や新技術、特許をもとに設立する「大学発ベンチャー」への出資も認め、資金調達で苦戦している地方の「大学発ベンチャー」を支援する。 一方、学内のチェック機能を強化するため、これまでの監事による業務監査に加えて、投資の運用状況を調べる財務監査を実施することを改正案に盛り込むことも検討している。 |