『伊勢新聞』2007年10月19日付

国立大で初めて 三重大と県教委が協定 大学で受講 進学で単位


【津】三重大学の豊田長康学長と県教育委員会の安田敏春教育長は十八日、県庁で高大連携協定を締結した。今月から県立高校生が三重大の授業科目を受講できるようになり、同大に進学すれば履修単位と認められる。県内全公立高校生を対象にする授業受け入れと入学後の単位授与制は国立大学では初めて。

協定では大学と高校の教育の相互連携と円滑な接続を目指す。三重大にとっては大学が求める学生像や大学の教育内容を示せ、高校生は大学の教育や研究に触れられる。

津、四日市両校の生徒六人が十月一日から毎週一回、「森林環境と保全」(生物資源学部)、「建築、技術、人間―防災論」(工学部)、「基礎地学」(教育学部)の中の一つを大学生に交じって受講している。所定の成績を修めれば大学で単位を認定し、同大に入学すると既修単位になる。

豊田学長は、「単位授与の対象を全県立高校に広げるため県教育委員会と協定を結んだ。単発的で一方向的な従来型でなく、双方向的で持続的な高大連携を進めていきたい」とあいさつした。

安田教育長は、「文部科学省事業で津高生徒が三重大にお邪魔したのが契機。生徒の興味と関心を喚起し、進路選択の幅も広がる」と期待した。

受講科目は今回、月曜夕の五共通科目を用意した。来年度は毎週に広げ、六十科目ほどから選べるという。

高校との連携を進めようと三重大では今年、高大連携担当学長補佐を設け、石田正昭生物資源学部教授が就任。石田学長補佐は、高校生が入試で選択しなかった未履修科目問題や多様な入試で生じた入学後の学力格差を挙げ、補習的授業などが今後の検討課題になると話した。