『岐阜新聞』2007年10月17日付 ITで診療情報を共有 県・県医師会・岐阜大病院 県と県医師会、岐阜大学医学部付属病院の3者は今月から、IT(情報技術)を活用した医療連携に乗り出す。県医師会のイントラネット上で診療所と公的病院が診療情報を共有する試みは全国初。県の情報ハイウェイを利用した病理診断によるがん医療の高度化、遠隔画像診断による専門医不足のサポートも行う。 診療情報の共有は、県医師会員の病院・診療所48機関と、岐阜大病院、県総合医療センター、岐阜市民病院、大垣市民病院が参加。同医師会の連携ソフト「岐阜メディカルステーション」を使って診療情報提供書を作成、紹介先の医療機関と患者情報を送受信する。 県医師会はファクスを使った病疹連携を県内全域に整備し、診療待ち時間解消など患者負担の軽減を図ってきたが、IT連携で、患者の負担軽減と同時に電子カルテ内にある治療や経過情報などを共有していく。セキュリティーを確保し、取り扱い情報の拡大も図る。 がんの遠隔病理診断では、岐阜大病院と県総合医療センター間で、デジタル画像化した病理スライドを共有し、双方の病理専門医が診断・検討する。診断の精度向上と病理医不足、時間的ロスをカバーすることができる。今後、県内のがん診療連携拠点病院間を結ぶネットワークを構築し、県内どこでも同レベルの診断が受けられるようにする。 遠隔画像診断による専門医不足サポートは、郡上市民病院と県総合医療センター間で実施。放射線科医のいない同病院で撮影された画像を同センターに送信し、センター専門医が診断。放射線医のいない地域でも診断が受けられるようになる。 16日、県庁で会見した野尻擴県医師会長、古田肇知事は「医療の地域間格差是正や地域医療のレベルアップにつなげたい」などと語った。 |