時事通信配信記事 2007年10月15日付 高専の再編・整理を提言=中教審特別委 高等専門学校の在り方について検討している中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別委員会は、高専教育の充実に向けた提言を盛り込んだ審議経過報告をまとめた。現在ある学校を再編・整理し、時代や地域の要請に応じた新たな機能を備えた高専を創設することなどが柱。また、長期インターンシップや社会人コースなどにも積極的に取り組み、地域の企業との連携を促進すべきだとしている。 高等専門学校制度は1962年創設。当時の「国民所得倍増計画」(60年策定)で、約17万人の科学技術者の不足が見込まれており、高専は「中堅技術者」の養成機関に位置付けられた。入学資格は中学卒業程度で、5年一貫の実践的専門教育が行われる。現在は国立55校、公立6校、私立3校の計64校が設置されている。 91年の制度改正で、5年の本科に加え、さらに2年の「専攻科」が創設された。学生数は2006年度現在で、本科が5万6329人、専攻科が2993人。 少子化で15歳人口が減少の一途をたどる中、高専の入学志願倍率はおおむね2倍以上で、公立高校(05年度で1.4倍)などと比べても高い倍率を維持してきた。しかし、05年度に初めて2倍を切り、07年度も過去最低の1.78倍に下がっている。 一方、高専の卒業生の動向を見ると、就職の割合が減り、進学率が上昇。技術者養成という従来の目的に対し、卒業生の進路の多様化が見られる。 志願率の低下や高専創設時からの社会的ニーズの変容を踏まえ、中教審特別委では、高専の在り方を議論してきた。現在ある学校をいかに再編・整理するかが審議の最大のテーマだが、予想以上に産業界などの高専への評価が高く、「むしろ拡大すべきだ」との意見も多く出たという。 再編・整理の具体策として同報告は「例えば情報技術に強い高専と、ものづくりの基礎分野で構成されている高専のように、異なる分野の特色ある学校同士が相互補完して、新しいモデルの学校を創設する」ことなどを提言。また、広域での連携なども求めた。 さらに、高専教育の活性化策として、企業の実際の生産・開発現場で経験を積むことができる長期インターンシップの普及促進を挙げた。また同報告は、企業技術者への再教育の必要性が高まっている点を指摘し、社会人コースの設定なども有益だとした。 卒業生を実際に受け入れている産業界などからは、非常に高い評価が寄せられている高専だが、校数も限られていて規模が極めて小さいことから、一般的には知名度が低いのが実情。同報告は、意欲ある質の高い入学者の確保に向け、保護者らへの広報活動に加え、小中学生を対象とした理科実験教室の開催、教育委員会と連携した理数科教育支援などに積極的に取り組むべきだとした。 |