『毎日新聞』2007年9月30日付

国立大再編:三重大と和歌山大が事務統合検討 経費を圧縮


国立大学が法人化され、国からの交付金削減が続く中、三重大(津市)と和歌山大(和歌山市)が経費削減のため事務部門の統合を検討していることが分かった。国立大再編は10月の大阪大・大阪外語大の完全統合が14例目だが、限定的な統合案は初めて。

三重大の豊田長康学長と和歌山大の小田章学長が3日に会談し、事務作業の共通化を検討することで合意した。近隣の国立大にも参加を呼びかけるが、豊田学長は「完全統合は考えていない」と話している。

5月に明らかになった財務省の試算では、主に教職員の人件費に充てる運営費交付金について、各大学の研究実績に応じて傾斜配分する。87ある国立大のうち東京大、名古屋大などの旧帝大が2倍近くに増える一方、教員養成大学は9割近く削減。今年度99億円の三重大、同41億円の和歌山大も5割以上の大幅削減になる。地方大や文部科学省が反発したため、導入は立ち消えとなった。

交付金は04年度から前年比減が続き、現状でも旧帝大以外の地方大の経営は厳しい。

国立大再編は01年、競争原理や民間の経営手法導入を掲げて統合方針が示され、主に地方の国立大と医科大の間で進んだ。これまでの14例はいずれも同一都府県内。県境をまたぐ場合、埼玉大と群馬大のように、キャンパス間の連絡や地元の教育委員会と密接な関係がある教育学部の統合がネックになり、協議が棚上げになっている。

文科省国立大学法人支援課は「各大学に独自カリキュラムがあり細部の共通化は難しいが、事務統合だけなら法改正は必要ない」と話している。

三重大は人文、教育、医、工、生物資源の5学部で学生数約6200人、和歌山大は教育、経済、システム工の3学部で同4100人。【井崎憲】