時事通信配信記事 2007年9月20日付

9万円程度の教育費控除新設を要望=文科省


文部科学省は、2008年度税制改正で、高校、大学に通う子どもを対象とした「教育費控除制度」の創設を要望した。教育費減税の仕組みとしては、16歳以上23歳未満の子どもを対象とした特別扶養控除があるが、現行の控除額が実際の平均授業料負担より9万円低いとし、同程度の金額を特定扶養控除に上乗せする形で控除することを求めている。

ただ、特別扶養控除をめぐっては、税制の抜本改革の中で、扶養控除制度自体の見直しも行われる可能性がある。また、少子化対策の観点から、公明党や野党の中に所得税控除よりも手当ての拡充を求める声なども強い。政府、与野党の思惑にかなりの違いが見られることから、同省は各方面の動きをにらみつつ、教育費負担の軽減につながる施策を柔軟に求めていく考えだ。

「教育費を含む種々の支出がかさむ世代の所得者の税負担の軽減を図る」目的で、16歳以上23歳未満の子どもを「特定扶養親族」とし、一般の扶養控除より控除額を割り増しする制度は1989年に創設された。創設から99年までの間に計4回、控除額が引き上げられ、現行では、通常の扶養控除が所得税38万円、住民税33万円なのに対し、所得税63万円、住民税45万円となっている。

同省によると、これまでは民間最終消費支出の数字を基に控除額が決定されてきた。従って、同支出が伸びてきた間は引き上げられたが、デフレ傾向に転じたため99年の引き上げを最後に控除額が据え置かれている。

しかし、物価は低下傾向でも教育費は上昇傾向にあり、同省が計算したところによると、高校生、大学生1人当たりの授業料負担の平均は年間46万円に上昇している。これに対して、通常の扶養控除に対する特別扶養控除の割り増し分は、所得、住民両税を合わせて計37万円。実際の教育費負担より、割り増し分が9万円少ない計算となる。

同省は、この9万円を教育費控除として、特別扶養控除からさらに所得税6万円、住民税3万円を上乗せする制度を要望した。特別扶養控除は、対象年齢であれば学校に通っていなくても適用されるのに対し、新たな控除は高校生や大学生に限定する。教育費に特化した制度とするのが特徴だ。