『読売新聞』2007年9月21日付

高知女子大統合移転 学長「地域貢献を促進」
看護など、3分野連携 チーム医療推進


県立高知女子大の池キャンパス(高知市池)への統合移転を巡り、山根洋右学長が20日、高知市永国寺町の同女子大永国寺キャンパスで記者会見し、県と歩調をあわせて移転を進め、看護、社会福祉、健康栄養の3分野が同一のキャンパスを使うことでチーム医療体制への対処を図るなど、移転による大学価値の向上や地域貢献の促進を図るとする今後の方針を表明した。統合移転を巡っては、19日に開会した9月県議会に予算が提案されており、本格的な審議を前に、大学側の姿勢を改めて示した形だ。

大学側は2006年度時点で、永国寺キャンパスの存続や、将来的に薬学部を設置するなどの展望を持っており、県の計画と食い違いがあったが、07年度になって、既存学部の全面的な池キャンパスへの移転や、薬学部新設の断念などで、学内で合意に達していた。

この日の会見で、山根学長は「高知女子大学の改革に向けて」と題したメッセージを表明。超高齢化社会に対応するため、大学が健康、医療、看護、福祉の体制を途切れなく整備する努力をするなど、県が抱える課題の解決に努め、「地域に根ざし、地域と共に発展する大学を目指す」と説明した。

改革の方向性については、「県民の生活に密着した大学、県民がほこりとする大学として発展させる」「安心して健やかに暮らすことのできる地域社会を支える健康看護福祉の高度専門職者を養成する」とした。

統合移転の理由としては、「看護、栄養、福祉の学生が別のキャンパスでは、共通の講座を受講できない」「3分野が連携して、チーム医療を推進できる人材を育成できる」ことなど、教育面のメリットを強調。文化学部の移転についても「池キャンパスでは文化が根付かないという理由がない」とし、永国寺キャンパス跡地については「マンションなどに切り売りするのでなく、生涯学習拠点や知的学習拠点としての活用が県との協議で検討されている」との見通しを示した。

山根学長は「県立大の価値が県民にうまく理解されていないのではないかとの指摘もあり、大学として県民への説明責任を果たすべきだと考えた」と述べた。