『山陽新聞』社説 2007年9月16日付

岡大法科大学院 地域の支援体制強めよう


法科大学院の修了者を対象にした二〇〇七年新司法試験の合格者千八百五十一人が発表されたが、合格率は40%と昨年を8ポイント下回り、法科大学院の今後に課題を残した。

新司法試験二回目の今回は法学部卒業者らを対象にした既修者コース(二年)に、未修者コース(三年)の修了者が加わり、制度本来の形が整った。六十八校の約四千六百人が挑んだが、各校別の合格率は60%台―数%と大きくばらついた。地元関係の合格者は岡山大が十人(合格率43%)、広島大十一人(同34%)、香川大・愛媛大三人(同33%)などとなっている。

法律だけでなく幅広い経験や人間性を備え、多様化する司法へのニーズにこたえる法曹人の養成が法科大学院設立の理念である。未修者コースは、それを具現化するものとして注目されたが、合格率は32%にとどまった。法律の知識が乏しい人を三年間で新司法試験合格レベルまで高める難しさを示した。

合格率が伸びなかった背景としては、法科大学院の乱立や修了認定の甘さによる受験者増と質的低下を指摘する声がある。一定の成果が上がらないと淘汰(とうた)の波にさらされよう。とりわけ、学生の中央志向や教員の争奪合戦の中で、地方の法科大学院には厳しい状況となる。

こうした中で、岡山大は昨年の四人から目標とした二ケタ台の合格者を達成し、合格率も全国平均を上回る健闘ぶりを見せた。指導方法や学習相談などの改善に努めた成果といえよう。

法科大学院が身近にあることは、地域活性化や司法過疎の解消などが期待される。岡山大の場合は「地域特化型」を打ち出している。地域一丸での支援が欠かせない。