『FujiSankei Business i. 』2007年9月14日付 知財に大きな貢献…東北大、関連特許が年200件以上 文科省が実態調査 文部科学省科学技術政策研究所は、知的財産活動に関する大学の貢献実態の把握を目的に、東北大学をモデル校として1993年から2004年の特許出願関連全情報を抽出・分析した。それによると、関連特許の出願は93年から毎年200件以上にのぼり、大学が大きく貢献してきた実態が明らかになった。貢献度が低いとされた従来の調査は、一部の側面しか捕らえていないことが分かり、04年の国立大学法人化前の状況を正しく把握する有用なデータとなった。 ◆機関帰属は5% 大学の特許に関する調査は、特許の権利者となることが多い「出願人」を用いているため、国や大学、TLO(技術移転機関)に帰属する、いわゆる「機関帰属特許」のみが対象とされてきた。国立大学の法人化以前には、この機関帰属特許が少ないという指摘があった。そこで、全体像を把握するために、大学研究者が「発明者」として加わった特許をすべて抽出・解析した。 具体的には、大学が設置する発明審査委員会に提出された発明者届をもとに、個人(企業)帰属分を抽出。住所や目視での確認により、調査対象期間のほぼすべてで、東北大関連特許と考えられる3627件を確定した。 この結果、東北大関連特許の出願は93年より毎年200件以上にのぼることが分かった。このうち、約95%が大学の研究者あるいは企業に帰属しており、国・大学・TLOの機関帰属特許はわずか5%だった。これまでの出願人による抽出では「大学全体の特許活動を議論することに無理があった」(科学技術政策研究所)としている。 ◆1人で681件も 1人で681件を発明した研究者をはじめとする上位3、4人が非常に多くの貢献をしており、全発明者279人の約1割に相当する上位30人が全特許の半数以上にかかわっていた。 一方、上位30人以外が関連する特許は99年以降増加傾向にあり、02年には上位30人の出願数を逆転した。これは、国の産学官連携や知的財産に関する施策の効果が表れているためと考えられるという。 科学技術政策研究所では今後、国立大学を法人化した04年以降の実態調査を行い、法人化の効果や、他大学の調査で大学間の比較を進める必要性があるとしている。 |