『東奥日報』2007年9月14日付

科研費獲得率UPへ指南制度/弘大


弘前大学(遠藤正彦学長)は、申請内容に応じて文部科学省などから配分される「科学研究費補助金(科研費)」の採択率アップに向け、提出書類の指南役を学内に設ける「アドバイザー制度」を二〇〇八年度申請分から開始する。国からの運営費交付金が年々削減される中、大学活動の基盤となる研究費にもしわ寄せが及んでおり、大学側は「各教員が外部資金を積極的に獲得していかなければ、大学の生き残りにかかわる」と懸命だ。

国立大学の運営資金をめぐっては、法人化以降、国からの運営費交付金が年1%ずつ削減され続けている。この影響は研究費にも及んでおり、弘大の場合、〇六年度予算での研究経費は約四億六百万円で、前年度に比べ約四千九百万円減った。

科研費は、研究者が公募で競い合うため「競争的研究資金」と呼ばれる。弘大はその獲得増を目指し、昨年から、研究者名簿に登録する全教員に対し、一人一件の申請を義務化。この結果、本年度の申請件数(八月二十二日現在)は七百二十二件と過去最多に上った。ただ、全国的にも申請件数は増えており、弘大の採択率は28.7%と、国立大学平均の45.3%(四月速報値)を大きく下回っている。

こうしたことから弘大は、新たな対策として、〇八年度の申請分(十一月提出締め切り)から「アドバイザー制度」を開始する。学内で採択実績が高い教員八人がアドバイザーとなり、申請書類を事前に精査。膨大な書類の中でも目を引くような書き方など“コツ”を指導・助言する。