『日本海新聞』2007年9月5日付

兵庫県、鳥大に寄付 異例の県外医師派遣依頼


兵庫県は、医師不足が深刻化している地域医療への支援策として、鳥取大学医学部に対し五年間で総額一億三千八百万円の寄付金を拠出し、公立八鹿病院(同県養父市)へ医師派遣を受ける。同県が各大学に要請している寄付講座開設の一環。総務省は「県外の大学に寄付講座を設置するのは珍しいのではないか」としている。

養父市と香美町が運営する八鹿病院(病床数四百二十床)は、但馬地域の医療を担う中核病院の一つ。同地域は医師不足が深刻化しており、八鹿病院も二〇〇三年度末に五十一人だった医師数が四十五人にまで減少。昨年は産科が存続の危機に陥った経緯もある。

医師不足が進む地域に対する支援策として兵庫県は、地域医療に関する研究活動を大学に要請し医師派遣を受ける寄付講座を推進する方針を打ち出しており、関係医師が六割を占めるなど八鹿病院とつながりの深い鳥取大学にも要請したという。兵庫県内では神戸大学などにも講座を開設し、公立豊岡病院(豊岡市)が二人の医師派遣を受けている。

鳥取大学が今回開設する講座のテーマは主に肺がんなどに関する研究。兵庫県が支出した年間千八百万−三千万円の寄付金を元に、八鹿病院を拠点とした診療や研究活動に当たる。鳥取大学によると、四日午前の役員会で講座開設を承認し、今後二人の医師を派遣するという。

兵庫県医務課は「大学の支援で専門分野を各病院に創設し、今後の医師確保や研修体制強化につなげたい」としている。