『北國新聞』2007年9月6日付 子供の心研究、金大に拠点 09年度に連合大学院 阪大、浜松医科大と連携 金大は五日までに、子どもの心の問題や発達を研究する連合大学院「子どものこころの発達研究科」を、二○○九(平成二十一)年度に大阪大、浜松医科大と共同で設置する計画を固めた。遺伝子学から脳神経科学、精神医学といった医学系の研究と、認知や言語に関わる社会科学系の研究を統合して行う。文理架橋型の連合大学院設置は全国でも初めて。うつや摂食障害、不登校、発達障害などを抱える子どもが増加傾向にある中、発達機能の解明や適切な診療を行える専門医の養成に大学を挙げて取り組む。 連合大学院は、金大なら脳科学など、それぞれの得意とする研究分野を学科として三つずつ各大学院に設置する。初年度の募集人員は各大学院十人以内の規模とする。 大学院設置に先立ち、金大は来月、金沢市の宝町キャンパス内に、「子どものこころの発達研究センター」を創設する。金大附属病院の小児科、精神科医師と、同大の21世紀COEプログラム「革新脳科学」の研究者、発達障害を研究する教育学部系の教員などが集い、横断的な研究を実施する。研究費用など約一億円を文部科学省特別教育研究費の来年度概算要求に盛り込んだ。 来年四月からは阪大、浜松医科大との連合融合事業が始まり、金大附属病院にも子どもの心を診療する臨床部門を新設する予定。地域支援として、学外の精神科医や臨床心理士も加わった「こころの地域ネットワーク支援室」も金沢市内に開設する。 子どもの心をめぐる問題については、虐待の被害者や凶悪事件などによる心の傷で治療が必要なケースが増えているほか、注意欠陥多動性障害(ADHD)や自閉症などの発達障害も早期の診断と治療が必要と注目されている。一方で専門医の不足が強く指摘されており、厚生労働省が先月、乳幼児期から青年期までの心を専門的にケアする「子どもの心の診療拠点病院」を今後全都道府県に設置する方針を固めるなど、診療体制の整備が急がれている。 ◆連合大学院 複数の大学が連合でつくる大学院。各大学の得意分野を生かしながら連携して研究教育を行い、一つの博士課程とする。現在は東京学芸大、埼玉大、千葉大、横浜国立大が置く「連合学校教育学研究科」など、主に教員養成や獣医学、農学といった分野で進められている。 |