『沖縄タイムス』2007年9月4日付

県・琉大 産業振興へ連携


県と琉球大学は3日、産学官連携による民間主導の自立型経済構築などを目的に、産業振興に関する連携協定を締結した。10月上旬に双方のメンバーらで産業振興連携協議会を設置。定期的な意見交換を通して、琉大の知的資源を生かした新産業の創出や観光、IT(情報技術)産業などの人材育成を図る。

県庁での締結式で仲井真弘多知事は「大学は敷居が高いという感じもあったが、これからは相談しやすくなる。大学の研究成果をビジネスに生かすことは、企業にとっても大きな力になる」と連携による産業振興に期待した。

岩政輝男琉大学長は「これまでも個人的レベルでは県と協力してきたが、今後は大学全体として県と一緒に仕事ができる。教育と研究をさらに充実させ、地域貢献のために力を発揮できるようにしたい」と話した。

同協定は、国立大学が2004年に独立法人化されたのを機に、「地域社会への貢献」を目標に掲げる琉大が提案。協定内容について双方で調整を進めてきた。

琉大は、研究成果や知的人材を産業振興に活用することで「社会貢献」を実現するとともに、教育研究活動の活性化を図る。08年度に設置予定の観光産業科学部と県の観光政策との連携も想定する。

対象分野は、産学官連携によるバイオや健康ビジネスなど新産業の創出のほか、IT、製造業など既存産業の振興、産業人材の育成など。県は、大学から県内企業への技術移転によるビジネス展開や観光政策立案への協力なども期待している。

協議会は、産業振興にかかわる県の課長クラスと琉大の研究者らを中心に各10人程度で構成し、年3回程度の開催を予定。具体的なテーマなどについて意見交換する。