『産経新聞』2007年8月29日付

東京駅前ビルに大学集合 生き残り戦略、拠点設け講座や連携


全国各地の大学が、JR東京駅八重洲口の高層ビル「サピアタワー」に拠点を設け、活動を本格化させている。主に社会人向けに各校が開いている講座も、税法から地域学まで多彩。少子化時代に、大学の生き残り戦略として話題を集めている。

サピアタワーはJR東日本が今年3月につくった。地上35階建てで、8〜10階の「大学フロア」に京都大、関西大など京阪神の大学をはじめ東北大、新潟医療福祉大など計12大学が集結している。4〜7階には500人収容のホールや大小会議室がある。

「同窓会などのイベントのため利用してもらっています。立地条件の良さが好評です」と、JR東日本の担当者は胸を張る。

立命館大の東京キャンパスは、古都の暮らしや文化などについて学術的に解説する京都学講座をはじめ、「金融と法」「税法」など4コースを常設している。受講者はそれぞれ50人前後で、30代から団塊世代まで幅広い。「20歳前後の一般的な大学生と比べて、学ぶ姿勢がとても熱心」だとか。

埼玉大は第一線のビジネスマンを対象にした経済科学研究科の夜間大学院を設置。このほか北海道大や関西学院大が、国際政治や経営論などに関する公開講座を開く。甲南大は首都圏の企業などとの連携を広げる施設として活用している。

立命館大の関係者は「大学も生き残りをかけてどのような研究をし、教育を行っているか、世の中に発信しなければならない時代。新幹線の駅にも近い東京キャンパスは自校をアピールするための重要な拠点」と話している。