『産経新聞』2007年8月27日付

防衛省、宇宙・海洋戦略に本腰 中国の「衛星破壊」に危機感


防衛省が宇宙・海洋戦略を立案する「宇宙・海洋政策室」(仮称)を新設することが26日、明らかになった。中国が宇宙空間と海洋での活動を活発化させていることをにらんだもので、来年夏の設置を目指す。

宇宙・海洋政策室は、防衛政策課内に置かれ5人程度の規模。7月の海洋基本法施行を踏まえ、宇宙・海洋政策を立案し、他省庁や各国の国防省、国際機関との調整などにもあたる。防衛省の平成20年度概算要求は総額4兆8172億円、今年度当初予算比で0・7%(357億円)の増。宇宙・海洋政策室設置のための経費も計上する。

防衛省には海洋政策の専門部署はなく、宇宙政策も宇宙の利用を「非軍事」に限定した昭和44年の国会決議があり「触れるのもはばかられてきた」(幹部)。

しかし、中国は東シナ海での石油ガス田の開発や、遠方展開が可能な海軍力の整備などを活発化させている。宇宙空間でも1月に人工衛星破壊実験を成功させた。宇宙・海洋政策室を発足させる背景には、中国の動きが日本のシーレーン防衛はもとより、衛星が心臓部の一つをなすミサイル防衛(MD)にとり脅威になるとの危機感がある。

政府は7月、海洋基本法の施行を受け内閣官房に総合海洋政策本部(本部長・安倍晋三首相)を設置。与党は先の通常国会に宇宙基本法案を提出している。