時事通信配信記事 2007年8月27日付

国立大学交付金は2.2%増を要求=文科省


文部科学省は、2008年度予算概算要求に国立大学運営費交付金として、前年度比2.2%増の1兆2313億円を盛り込む方針を固めた。政府・与党の医師確保に関する緊急対策などで打ち出された医学部の入学定員増や、政府の教育再生会議が提言した大学9月入学の促進など、「特に必要となる諸課題」に対し、支援を充実させる方向だ。

同交付金は、06年中に進められた政府の歳出改革の中で、「前年度比1%削減」の方針が定められた。政府の経済財政諮問会議のメンバーの中からは、同交付金の一律的な配分から、各大学の努力と成果を踏まえた配分に見直し、効率化を求める意見が出ている一方、大学関係者らは猛反発しており、同省予算概算要求の焦点の一つとなっていた。

同省は、歳出改革の時点では議論されていなかった医師確保策や9月入学の促進などに加え、07年4月からスタートする教職大学院の整備や、政府が進める観光立国の取り組みにも対応した観光関連学部の新設などで、支援が必要と判断。1%削減の方針は閣議決定しており、年末の予算編成では財務省の厳しい対応も予想されるが、安倍内閣発足以来の情勢の変化で、増額要求は妥当と判断した。

大学関係では同交付金のほか、「大学病院と地域医療機関が連携した医師等の養成システムの再構築」を新規事業として137億円を盛り込んだ。国公私立大学の連携を地域振興の核とする新たな取り組みにも50億円を充てた。