『朝日新聞』2007年8月26日付

東北大、随意契約15件を非公表 適正化法違反の疑い


東北大学(仙台市)が、06年度に発注した大学病院・医学部関連の工事で、公表が義務づけられている16件の随意契約のうち15件を公表していなかったことが朝日新聞の調べで分かった。15件の契約額は計約7700万円にのぼる。非公表は公共工事入札・契約適正化法に違反する恐れがあるが、同大は「忙しくて失念していた」と説明している。

東北大をめぐっては、大学病院の眼科手術室新設工事(契約額計2310万円)について、入札を逃れるために工事を3分割して随意契約を結んでいたことが明らかになっている。同大は、この3件の随意契約の非公表が問題となった今月になって、3件を含む14件についてホームページで急きょ公表し、残る1件についても公表を急いでいる。

大学側によると、3件のほかに非公表だったのは昨年9月〜今年3月に随意契約した外来診療棟の改修工事など12件で、契約額は各271万〜978万円。このうち昨年10〜11月、同じ外来診療棟1階にある入院事務室や医療相談室などの部屋ごとに契約した改修工事4件(同1776万円)は、同一の仙台市内の建築会社が請け負っていた。

東北大学は入札・契約適正化法に基づき、予定価格が250万円を超える工事などの随意契約は金額や契約相手などを72日以内に公表すると規則で定めている。また、国の会計基準を準用し、1000万円を超える工事については原則として入札することを規則で義務づけている。

東北大は、各工事の予定価格が1000万円を超えなかったために随意契約にしたと説明。公表しなかった理由については「病棟の移転などで担当者が忙殺され、失念していた」と話している。