『毎日新聞』2007年8月24日付

文科省:大学交付金の増額要求へ 閣議決定に反旗


文部科学省は23日、予算省議を開き、主に国立大学教職員の人件費などにあてられる運営費交付金について、対前年度比269億円増の1兆2313億円を概算要求することを決めた。運営費交付金は昨年の「骨太の方針」で今年度から5年間、年1%ずつ削減することが決まっている。同省は、政府の教育再生会議が高等教育の「基盤的経費の確実な措置」を提言するなど社会情勢が変化したと判断。閣議決定された骨太の方針に反し、約2%の増額要求をすることになった。

運営費交付金の増額要求は今後、約2万1000人の公立小中学校の教職員を増員する計画(予算要求額1兆6957億円)とともに、安倍晋三首相が最重要課題に掲げる「教育再生」関連予算として争点の一つになるとみられる。

文科省は23日の予算省議で、(1)国立大の教育研究を支えるために必要な基盤的経費の確保(2)社会経済の変化を踏まえ、特に必要となる諸課題に対応した事業を支援−−として、1兆2313億円の国立大運営費交付金を盛り込んだ新年度予算の概算要求を決定した。諸課題に対応した事業では、深刻化している地方の医師不足に対応するための医学部の入学定員増に予算措置をする。

運営費交付金をめぐっては、04年度の国立大法人化以降、毎年減額されている上、昨年の骨太方針で2011年まで年1%削減することも決まっている。また、概算要求基準(シーリング)でも1%削減するよう求められており、財務省との折衝も難航しそうだ。

また、文科省は私立大学への助成金も同様に約2%増の方向で詰めの作業を行っている。【高山純二】