『毎日新聞』2007年8月16日付

佐賀大:生物兵器検出を研究 文科省が1500万円助成へ


佐賀大学が炭疽(たんそ)菌や天然痘ウイルスなどの有無を素早く調べる検出装置の研究開発に乗り出すことになった。炭疽菌などを使った生物兵器テロ対策を念頭に置き、開発した装置はテロの標的となりやすい主要交通機関などに設置することを想定。数年後の実用化を目指し、調査研究を進める方針だ。

研究は、文部科学省が助成する「安全・安心科学技術プロジェクト」に採択され、具体化することになった。同プロジェクトの基礎研究分野には全国から37件の応募があり、佐賀大と大阪大の2件が選ばれ、1500万円の助成を受ける。

検出装置は、大気中の炭疽菌などを耐久性に優れたセラミックフィルターで集めて検出し、従来は困難だった菌の生死の判別もできるようにする。検出までに要する時間を世界最高レベルの30分以内とする目標を掲げ、対応できる細菌類も10種類以上にする予定だ。

開発を担当する危機管理医学講座の奥村徹教授は「装置が実用化できれば生物テロを抑止する効果が期待できる。万が一、テロが起きた場合でも即応でき、安全、安心な社会作りに役立つことができる」と話している。【姜弘修】