『朝日新聞』2007年8月13日付

教員免許の更新講習は「双方向評価」 文科省が方針


教員免許更新制の導入に伴って09年度から始まる更新講習について、文部科学省は、受講した教員らに内容を評価させ、その結果を公表する方針を固めた。講習内容の充実を担保すると同時に、透明性を確保することが狙い。どの大学で受講するかは教員それぞれが選べるため、受講者の評価が大学によって明確に分かれる可能性がある。

文科省の方針は、(1)大学側は、受講予定者の意見を事前に聴いたうえで講習の内容を決める(2)受講者には事後評価をさせ、その結果を公表する(3)2年目以降の受講対象者は、前年までの事後評価をもとに、どの大学で受講するのかを決められるようにする――といった内容。担当する教職員課は「混乱があるかもしれないが、講習を透明にすることが必要だ。面倒見のよさや、受講者と一緒に考える姿勢が大事で、講習の質を正面から確保する手段と考えている」としている。

文科省は、9、10日に東京都内で開いた大学や都道府県教育委員会の担当者らを対象にした説明会でこの方針を説明した。大学側からは「事前の意向聴取の内容を反映させることが難しいこともあり得る」との意見も出たが、「講習内容に意見を反映させることで、教員側の参加意識も上げる狙いがある」と理解を求めた。

講習のカリキュラムは今後、中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)で検討され、今年度内に省令で定められる予定。教育をめぐる最新の研究成果や指導法、教員としてのあり方など、どの教員も共通に受ける内容と、教科ごとの専門的な内容に分かれる見通しだ。

教員免許の取得者は数百万人にのぼるが、全員を対象に更新講習を行うことは物理的に難しい。このため、現役の教員や非常勤講師に加え、非常勤講師となる可能性のある人物を教育委員会や学校法人がリストアップし、年齢によって更新講習を受ける年を分ける予定で、当面は年間10万人程度が受ける見通しだ。